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重症の花粉症治療薬について

重症・最重症スギ花粉症の新たな治療薬「抗IgE抗体薬 ゾレア皮下注」による治療を行っております!

  • 4人に1人がスギ花粉症と言われる現代、そのヒドい症状に悩まれる方はかなり増えてきています。
  • 内服薬を飲んでも、くしゃみ・鼻水がとまらない・鼻がつまるといった症状が治まらず、1日中ティッシュが手放せない方
  • 眠気などの副作用が出やすく、もっと強力な効果が期待できる薬剤に変更・増量したいけど出来ない方
  • 内服、点鼻薬、点眼薬などフルに服用していても、全く症状が軽くならない方

このような方にとって、大きな選択肢が登場致しました。それが「抗IgE抗体製剤ゾレア」です!
製品の説明の前に、スギ花粉がなぜ起こるのかについておさらいしておきましょう。

スギ花粉症が起こるメカニズム

  1. スギ花粉が鼻の粘膜に付着すると、花粉の持つたんぱく質が「抗原」「アレルゲン」として認識されます。
    体の免疫防御システムは、「IgE」という免疫グロブリンを作ることでスギ花粉を排除しようとします。
  2. 次にスギ花粉が体内に侵入すると、過去に経験した「スギ花粉情報」に基づき異物と見なし迎撃態勢を準備します。
    わかりやすく申しますと、前に一度侵入してきた”スギ花粉”がまた侵入してきたぞ!と免疫システムが作動するイメージです。
  3. そして外敵と見なしたスギに対する免疫システム「抗体(IgE)」が身体の中で産生され、肥満細胞の表面に並んで迎え撃ちます。
  4. 抗原(スギ花粉)と抗体(IgE)が炎症に関わる肥満細胞と結合します。
  5. この時「スイッチ」が入り、肥満細胞からヒスタミンという生理活性物質が大量に放出されてしまいます。
  6. このヒスタミンが神経や分泌物を出す鼻腺・血管などにあるヒスタミン受容体にくっつき、くしゃみ・鼻汁・鼻づまりなどを引き起こします。

ご理解頂けたでしょうか?つまり”スギ花粉を認識するIgEを持っているか”が、スギ花粉症の最も重要な入り口のカギとなります(スギ花粉を敵と見なすIgE抗体が体内になければ、上記のような反応は起こりません)。

 

現在のスギ花粉症治療

現在、アレルギー性鼻炎の治療薬の主役は「抗ヒスタミン薬」です。
先ほど記したアレルギー反応の結果、肥満細胞から飛び出したヒスタミンが受容体にとりつくことをブロックする薬です。より効き目が強く、より眠気の副作用が無い薬が開発され、多くのスギ花粉症の方の症状軽減に役立っています。

ただ、アレルギー反応はヒスタミン以外の多くの物質が関与して引き起こされますので効果が不十分となる方もいます。

スギ花粉症の治療としては、

  1. 抗ヒスタミン薬の内服以外に点鼻ステロイド薬
  2. 抗ロイコトリエン薬
  3. 内服ステロイド
  4. 手術治療

などがありますが、最近ではスギ花粉エキスによる舌下免疫療法も有効性を示しています。

ただ、これらの様々な治療にトライしても症状がおさまらない最重症のスギ花粉症の方に対して、新たな選択肢として「抗IgE抗体ゾレアによる治療」が認可されました。

抗IgE抗体製剤 ゾレアについて

ゾレアの特徴

ゾレアは生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られた医薬品で、化学合成で出来た一般的な医薬品とは異なります。
このような医薬品を生物学的製剤と呼んでいます。病気に関係する標的の分子だけに結合する抗体(タンパク質)を医薬品としたものです。
ゾレアは花粉症などのアレルギー疾患に重要な働きをしている”IgE抗体”を標的分子として作用します。

従来の薬に比べて構造が複雑で、口から飲むと体内に吸収しにくい性質がありますのでほとんどが注射剤です。

ゾレアの薬理作用は、花粉によって産生されたIgEと結合し、IgEが肥満細胞(マスト細胞)と結合できなくすることでアレルギー反応「スイッチ」が入らないようにします。
つまりあのツラい花粉症の症状「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」を根元から断つことが期待できる薬剤と言えます。

ゾレアの用法用量

用法用量とは使い方・使う量・使う時間などを指します。
この製剤は他の抗アレルギー薬とは違い、厳格な投与基準と投与量・タイミングなどが決められています。

対象年齢

成人及び12歳以上の小児

製品規格

ゾレアの規格は75mg、150mgの2規格です。

投与量

血液中の総IgE値、体重をもとに投与量が計算され2週間もしくは4週間おきに1〜4本の注射を皮下注射します。

ゾレアによる治療を受ける為の条件
  1. 重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)で、前スギ花粉シーズンでも重症な症状があったこと
  2. スギ花粉のアレルギー検査(血液検査)がクラス3以上であること
  3. 花粉症の治療を1週間以上行い、効果が不充分であったこと
  4. 12歳以上で、血清総IgE濃度が30~1500IU/ml、体重20~150kgの範囲にあること

以上の条件に当てはまらないと、ゾレアによる治療は受けて頂けません。少しハードルが高い薬剤ですが、副作用が多くて危険であるからという理由ではなく、薬価が高い薬ですので乱用を防ぎ適正使用を促す為です。

投与可能かのチェック項目もわかりにくい記載だと思いますので、詳しくは医師にお問合せ下さい。妊娠中、授乳中の方も医師にご相談下さい。

ゾレア投与までのスケジュール

初診からゾレア投与までの流れをお話させて頂きます。

初診

  1. 問診を行い、重症または最重症のスギ花粉症であるかどうか診断します。
    場合によっては、症状が副鼻腔炎などの他の病気によって引き起こされているものではないかを、レントゲンやファイバースコープ検査などで確認することもございます。
  2. アレルゲン免疫療法(減感作療法)に関する説明をします。
  3. 採血を行い、スギIgE値・総IgE値を測定し体重を測らせて頂きます。
  4. 既存の治療(抗アレルギー剤、鼻噴霧用ステロイド剤など)を開始します。期間は1週間以上です。

再診(2回目の診察)

  1. 既存の治療が効いているかを診察で確認します。効き目が悪ければ、「効果不充分なスギ花粉症患者」であると診断します。
  2. 採血結果を説明して投与可能かどうか、投与量と投与間隔をお伝えします。医師の助言の下、ご本人が開始するかどうか決めて頂きます。ゾレア治療をご希望であれば、詳しい説明を致します。

3回目受診時、ゾレアの注射を開始します。

ここまでのステップを踏んで頂いて、初めて注射可能となります。

  • スギIgEがクラス3以上、総IgE値が30〜1500IU/mlであることが絶対条件です。
    (IgE値が高すぎる人は重症の方に多いのですが、投与量が増えすぎるので逆に投与できません)
  • 体重と総IgE値よりゾレアの投与量と投与間隔が決められます総IgEが高く、体重が重い方はより多くの注射を必要とする計算ですね。
    (体重がより重い方は、総IgE値が1500IU/ ml以下であっても必要投与量が限界量を超えてしまうことにより「投与不可」となることもあります。)
  • またゾレアと並行して、抗アレルギー剤などを服用頂くことも条件のひとつとなります。
  • スギ花粉飛散時期(概ね2月~5月)内で2週間または4週間ごとに接種して頂きます。

ゾレアの投与量換算表

投与前の血清中総IgE濃度と、体重の交わった欄が投与量となります

 

 

 

 

 

 

 

治療費

費用は薬剤費のみで1ヵ月あたり3割負担で約4500円〜7万円の間です。これに加えて、受診・検査にかかる費用、同時に服用し続ける必要のある抗ヒスタミン薬の処方費がかかります。
(2021年2月現在。診療報酬、薬価は1年~2年に1回実施される診療報酬改正・薬価改正により変動します)

小児は12歳以上が適応ですが、自治体によってはこども医療費などの医療助成が受けられます。

非常に高額なお薬ですので、高額療養費や医療費控除などの公的制度をご活用頂ければ多少は負担も和らぐかも知れません。

「医療費を賢く節約する方法~高額療養費について」

「医療費を賢く節約する方法~医療費控除について」

 

4週間に1回投与の方

2週間に1回投与の方

 

ケーススタディ~投与量と窓口負担のシミュレーション

初回投与前の血清中総IgE濃度と体重から、ゾレア投与量が150mgになったYさん(男性)の場合を例に、いくら薬剤費がかかるのかをご紹介致します。

年齢:33歳
身長:180cm
体重:67kg やせ型
初回投与前の血清中総IgE値:90IU/ml

血清中総IgE濃度

薬剤費換算表

 

上記のデータから、ゾレア投与量は4週間ごとに150mg1本接種です。2021年2月時点のゾレアの薬剤費は29,147円で、Yさんの窓口で支払う薬剤費は3割の8,744円となります。

 

まとめ

難しい内容の文章をここまでお読み頂き、誠に有難うございました。厳しい寒さを耐えて本来は楽しみな季節ですが、花粉症の症状がヒドい方にとっては憂鬱な季節だと思います。しかしゾレアの登場により、重症のスギ花粉症に苦しむ方にとっては選択肢が増えました。健康的で楽しい生活を過ごすことが出来るよう、是非ご検討下さい。

ご興味のある方や検討したい方は、遠慮なくご相談下さい。

 

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