医療費の自己負担を賢く節約する方法~高額療養費について
医療費の自己負担を節約する方法について~公的制度の活用
普段あまり気にならない医療費も、病気で長期入院したり、高額な医療を受けたりすると大きな負担となることもございます。
当クリニックとしても専門の分野ではございませんが、適切な医療を受けて健康な生活をして頂く一助となればと作成致しました。ご参考になれば幸いです。
医療費を節約する公的制度は2つあり、「高額療養費制度」と「医療費控除」です。当ページでは「高額療養費」について要点をまとめてみました。
高額療養費(こうがくりょうようひ)とは?
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が1カ月内で上限を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
簡単に申せば、自己負担した金額と自分の上限金額の差額を、申請して後で払い戻す仕組みです。請求の窓口は健康保険(国民健康保険、健康保険組合等)になります。
計算する場合に注意しないといけない点を数か所挙げておきます。
- 1か月内(1日~末日)の医療費であること
- 医療費の中には、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みまれません。
- 医療費の計算は、医療機関毎となります。(違う医療機関、薬局の医療費は合算出来ません)
- 自己負担の上限金額は、年齢や所得によって変わってきます。
- 世帯合算(同じ世帯で、同じ医療保険に加入の他の方の自己負担額を合算出来ます)という制度もあります。
- 多数回該当(過去12カ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がる制度)という制度もあります。
以上の主な注意点6項目を頭に入れておいて下さい。各項目ついてはもう少し詳しく説明して参ります。但し限度額など制度の見直し、変更点が随時行われていますので、厚生労働省のホームページにて必ずご確認下さい。
1.期間について
1か月内での医療費の支払いに限られます。例えば8月19日~9月10日まで病院で治療をした場合は、8月19日~末、9月1日~9月10日までにそれぞれ支払った自己負担額が対象です。ですので8月、9月は別計算となります。
2.対象となる医療費
保険診療のみが対象ですので、自費診療や入院時の差額ベッド、食費は対象外です。
3.計算単位
原則として1医療機関ごとで計算をします。入院と外来も別計算、薬局も別となります。
4.年齢と所得による区分について
加入者であるあなたの年齢が70歳以上かどうか、また所得によって上限金額は変わります。下記の表をご参照下さい。
まずは70歳以上の方です。
次に69歳以下の方用です。
いかがでしょうか?ご自分の上限金額の計算は出来ましたか?これが高額療養費制度の基本となる計算方法です。
少し難しい考え方ではありますが、じっくり読めば大筋はご理解頂けると思います。ご不明点及び詳細には厚生労働省ホームページや、所属する健康保険にてご確認下さい。
5.世帯合算
ひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合、複数の受診や、同じ世帯の他の方の受診を一度確認して下さい。
同じ健康保険に加入している方に限りますが、それぞれ窓口で支払った自己負担額を1ヶ月単位で合算出来る制度です。
合算した額が一定額(前項の「年齢と所得の表」で計算した自己限度額)を超えていれば、高額療養費として支給されます。
但し69歳以下の方は、21000円以上の自己負担のみ合算となります。
(厚生労働省ホームページより)
6.多数回該当について
多数回該当とは、過去12カ月以内に3回以上上限額に達した場合、4回目から「多数回」該当となり、上限金額が下がります。
回数が増えれば負担が多くなるので、この制度も助かりますね。
限度額適応認定証について
高額療養費制度は申請後に払い戻される方式(償還方式と呼びます)を採用しています。でも高額の医療費を毎回・毎月支払うのも大変ですよね。
そういう場合に「限度額適応認定証」があれば、窓口で提示すれば自己負担額までの支払いで済む大変助かる制度です。
特に大きな医療費がかかりそうな時(入院など)は、事前に申請して受け取っておくと便利ですね。
ただし、保険料の滞納がある場合は認定証を交付できないことがあります。多数回該当・世帯合算については償還払いの扱いとなります。
また健康保険によっては、高額療養費が適応になる場合に独自に付加給付(プラスで給付がある)があるかも? これは加入している健康保険によって違いますので、何度も申し上げていますが、ご自身で必ず確認をお願い致します。