ヒト由来幹細胞培養上清液とは?
幹細胞ってご存じでしょうか?
皆さんは幹細胞(かんさいぼう)という言葉を耳にしたことはありますか?
幹細胞とは何かと問われたら、私たちの細胞の元となる物質の事で体の構成要素になる夢のような細胞のことです。
「だったら自分の体で運動とか食事をして、もっと幹細胞を増やせばいいね!」
こう思うのが普通なのですが、しかし残念ながら年齢が上がるに連れて幹細胞の量は激減していきます。生まれた時には60億個もあった幹細胞が、20歳ごろには約10億個、40歳になればたった5%の3億個という数にまで減ってしまうのです。
それなら他人からと考えますが、幹細胞自体の他人からの提供は法律で禁じられており難しい状況です。老化は幹細胞の減少が原因の一部とされながらも、自身ではどうすることも出来ないのが実情のようです。
そこで登場するのが「幹細胞培養上清液(かんさいぼう・ばいようじょうせいえき)」です。
幹細胞培養上清液とは、一体なに?
幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養増殖するために利用した溶液の上澄みのことです。以前は幹細胞の培養増殖が完成すると、幹細胞を取り出したあとのこの溶液は医療廃棄物として処分されていました。
「幹細胞を取り出したこの溶液にも、幹細胞と同様に有効な物質が滲み出し、治療に役立つのではないか?」という研究者たちの新しい仮説等に基づく研究や実験の結果、幹細胞培養上清液は治療に役立つ製品として誕生しました。
現在では幹細胞培養上清液は診療科目を限定せず、さまざまな医療現場で治療に用いられるようになりました。
参考:ヒト由来幹細胞培養上清液の可能性
幹細胞治療と幹細胞培養上清液との違い
幹細胞治療も幹細胞培養液治療も、細胞を修復したり再生したりする力を応用する点では同じですが、決定的に違う部分があります。
それは、幹細胞治療は患者自身の幹細胞であるのに対し、幹細胞培養上清液はヒト由来ですが、幹細胞を培養した際の上清液を使う点です。
幹細胞と同様に厳重に管理された培養施設で製造され、ウイルス検査をはじめ、安全性にも問題ない製品ですので、幹細胞治療と同様に安心して治療をうけることができます。
幹細胞培養上清液には、培養の際に放出されたサイトカインやエクソソーム、その他、500種類以上もの成長因子が多く含まれており、症状によっては、幹細胞治療に近いレベルでの効果が期待できます。
幹細胞治療に比べ治療費が低く設定されていますので、トライアル(試験的取りくみ)や幹細胞治療のサポート的役割で併用することも可能です。
幹細胞培養上清液の作用
培養上清液は「幹細胞を培養・増殖するために利用した上積み液」のことです。
「じゃ、液そのものには効果はないんじゃない?」
こう思われても仕方がなく、実際にいろいろな試験が行われました。その結果、上清液にも様々な効果があることがわかりました。
使用する製剤は?
製剤上はいくつかありますが、当院ではネブライザー(点鼻剤)を使用します。
期待できる効果
抗炎症作用
炎症が起こっている部位の治癒を促進し、疼痛も抑えます。関節痛・腰痛・頚部痛・肩痛・筋肉痛などに有効。
創傷治癒作用
損傷した細胞を修復し、早期に傷を治します。真皮層から皮ふ表面までの細胞を活性させ、皮膚の傷痕や炎症痕を修復。
組織・神経修復作用
内臓、筋肉や末梢神経など、組織が損傷した場合、患部を修復。損傷した組織の細胞分裂が活性化され、組織再生力が向上し、機能が回復します。
肝硬変・慢性肝炎などの肝疾患、皮膚疾患、呼吸器障害、腎臓機能障害、糖尿病の合併症などに有効。
免疫調整作用
異常な免疫反応により、アレルギーがおきないよう、免疫機能を正常な状態に調整。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎に有効。
血管再生・血管新生作用
動脈硬化などで血流が途絶えた場合、側副血行路血管新生によって血行を再開させます。動脈硬化などの進行を予防する治療にも有効。
抗酸化作用
体内に発生した活性酸素を取り除き、細胞の老化やがん化を防ぐ。
活性化酵素除去作用
疲労回復や生活習慣病の予防に役立ちます。
若返り・美容作用
組織を修復する作用を二次的に応用し、シワやたるみなどの予防や老化改善を行います。医薬部外品や化粧品でも注目を集めています。
幹細胞培養上清液を使った主な治療方法
当院では幹細胞培養上清液を点鼻液(ネブライザー使用)や点滴で行います。(保険上はあくまで未承認医薬品です)
実際にどんな効果があるのか、もう一度整理してみましょう。
抗炎症作用 | 関節痛・腰痛・頚部痛・肩痛・筋肉痛などに有効です。 |
創傷治癒作用 | 皮膚の傷痕や炎症痕を修復させます。 |
組織・神経修復作用 | 肝硬変・慢性肝炎などの肝疾患、皮膚疾患、呼吸器障害、腎臓機能障害、糖尿病の合併症などに有効です。 |
免疫調整作用 | アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎に有効です。 |
血管再生・血管新生作用 | 動脈硬化などの進行を予防する治療にも有効です。 |
抗酸化作用 | 細胞の老化やがん化を防ぎます。 |
活性化酵素除去作用 | 疲労回復や生活習慣病の予防に役立ちます。 |
若返り・美容作用 | 医薬部外品や化粧品でも注目を集めており、疲労回復や生活習慣病の予防も期待されています。 |
以上のような様々な効果が期待されていますが、個人差があることはご了承ください。
特に耳鼻咽喉科においてはゾレアの保険上の範囲を超えて接種できるので、大きなメリットがあると思います。通常は保険で行う治療を、上清液治療は保険外ですので診療からネブライザーまで一切を保険外として33,000円(税込み)になります。
副作用など、注意点について(必ずお読みください)
当院では十分な診察を実施し、かつ患者さんのニーズが高い場合にこの製剤の処方を検討致します。この点はしっかりお話をしたいと考えております。
まずは何度も申し上げて恐縮ですが、「未承認医薬品」であることをご理解下さい。
製剤の選定においては100%ヒト由来であり(日本人)、かつ全てを国内生産されている製品を使用します。含まれる成長因子の濃度は高く、アンモニアなどの不純物は徹底的に除去されていますので、安心感と信頼感を持てる製剤を取り扱っています。
注意事項としまして、
- 幹細胞培養上清液による治療を受けられた方は、献血が出来なくなります。
- 理療上、将来的に現時点でまだ見つかっていない未知の感染症をきたす可能性はゼロではありません。
- この製剤は全て予約制となりますので、予約の日時変更やキャンセルをされたい場合は前日までにお電話をお願いします。
- 無断キャンセルの場合は1回分の代金を頂きますので、予めご了承ください。
また他にも未成年の方、妊娠中・授乳中の方、現在がん治療を行っている方、がん治療後5年以内の方も原則投与は出来ません。
下記もよくお読みください。
- この製剤は国の承認を得た薬剤(保険医薬品)ではありません。
- 当院の薬剤は、日本のネイチャーバイオニックス社で製造されたものを使用しています。
- 同一の成分や性能を有する国内承認医薬品等はございません。
- 諸外国においても、重大なリスクの可能性について明らかな情報はございません。
- 万が一、重篤な副作用が出た場合は国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
以上のように大きなメリットの可能性もございますが、万一の場合は非保険給付品でないデメリットも多いので、よくお考え下さい。
院長から
当院も今までの病気の治療という立場から、15年間の経験と免疫注射と合わせて幹細胞培養上清液を用いることで「病気の予防」に役立つ治療を行う事になりました。
通常ゾレアでは保険上カバー出来ない範囲まで使え、価格も大きな差がないのが大きいと思います。
薬だけではなく、健康の元となる「休息・運動・食事」と合わせてより健康になれるよう、患者さんと共に歩んでいきたいと思います。