『 健康ブログ~何となく体調が・・・こんな時に漢方薬を試してみませんか?』
三重県四日市市の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康ブログです。当ブログでは耳鼻咽喉科領域に限らず、もう少し広い視野でより快適に生活できる情報を発信します。また流行りの健康情報ではなく、基本に忠実な情報を書きたいと思っています。末永く宜しくお願い致します(専門外の病気についての詳細は、各専門科でお尋ねください)。
こんにちは、健康ブログ編集長です。いや~本当に、エアコンなしでは命の危険を感じるほど暑い!私以上の世代の方はエアコンを使うのに若干抵抗がありますし(勿体ない精神で)、そうでなくても節電しないといけませんが、健康には変えられません。適切に使っていきましょうね。
本日のテーマは、
「ユニークな特性を持つ漢方薬について、深く知ろう!」
四日市本院のホームページで、先週漢方薬に関する記事を公開しました。本院では比較的たくさんの漢方薬を使っており、患者さんにもっと知ってもらいたい!という想いで作成しました。
国内のトップメーカーである(株)ツムラさんには140種類くらいのラインナップがあるそうですが、耳鼻咽喉科の適応症がある漢方薬はあまり多くなく、本院では約15種類の漢方薬を処方しています。今日は漢方薬の考え方、メリット、デメリットなどをお話していきましょう。
西洋薬の考え方
私たちが普段飲んでいるのは「西洋薬」というカテゴリーの薬です。西洋薬は化学合成された物質がメインで、その多くはひとつの成分で構成されており、ひとつの疾患やひとつの症状に強い薬理作用を示します。歯痛、腰痛などの時に飲む鎮痛剤、熱が高い時に熱を下げてくれる解熱剤、ガンに対する抗がん剤などですね。病気の元を治すのではなく、症状を抑えることを最優先しています。
西洋薬は確かな薬効と比較的速い効果が特徴ですが、ネックはある症状を抑える為に薬を飲むと、別の副作用が出てしまうことです。例えば花粉症に使う抗アレルギー剤はくしゃみや鼻水を抑えてくれますが、その代償として眠気が現れます。どちらを優先するかという問題にぶつかるのです。
大抵は短期間しか使用しないので大きな問題にはなりませんが、ずっと飲まないといけない薬や、飲まないと命にかかわる場合は別。高血圧の薬や抗がん剤などが代表的です。特に抗がん剤などは厳しい副作用が有名ですね。
とは言え、西洋薬の発展が世界中の多くの命を救ってきたのも事実。私たちも小さい頃から、随分助けられてきました。
漢方薬の考え方
これに対して、漢方薬はどうでしょうか?
漢方薬の原料を生薬(しょうやく)と呼び、草や木、動物や鉱物など、自然にあるものです。例えば「ショウガを食べると体が温まる」という事を聞いたことがあると思います。このような、植物などに備わった力を一つひとつ確かめ、組み合わせて出来たのが漢方薬なのです。
こう書くと、
「効果はマイルドで、副作用もなさそう」
と思われがちですが、確かに西洋薬に比べれば副作用は少ないですが、それでもゼロではありませんし、重い副作用が発生したことも過去にはあります。効果に関しても、体質が合えば速効性のある製剤もございます。
漢方薬で使われる生薬は、自然の原料から出来ていると申しましたが、生薬が、体に本来備わっている自然な治癒力を助け、病気を治療していきます。漢方薬は生薬を組み合わせており、症状を根本から改善していくことが特長です。さらに、個人個人の体質や症状を考慮して漢方薬の処方を決定するため、同じ症状なのに違う処方が用いられたり、違う症状なのに同じ処方が用いられたりすることもあります。
漢方の治療に関しての基本的な考えは、熱ければ冷まし、冷えていれば温める。足りないものは補い、多過ぎるものはとり除く。このようにして、体が本来もつバランスを整えていくというものです。
漢方薬は原則として2種類以上の生薬で構成されていますので、多くの成分を含んでいます。そのために、ひとつの処方でいろいろな病状にも対応することができます。また漢方薬は、病院において検査や画像診断をしても異常がないのに、自覚症状があるというような病気にも向いていると考えられています。原因の特定できない慢性の病気、体質がからんだ病気には漢方薬が向くことが多いとされます。
しかし、病気の原因が特定でき、原因別の治療が可能な場合や手術が必要な場合、緊急を要する疾患、重症の感染症などには一般的に西洋医学の方がすぐれていると考えられます。病気や症状によって使い分けていくことが望ましいです。
漢方薬の治療
漢方薬の大まかな成り立ちや、西洋薬との使い分けをご理解頂けましたでしょうか?この項では漢方薬の処方の仕方をご説明します。
その前に漢方薬の適応症を紹介しましょう。適応症とは薬ごとに定められた使用許可証みたいなもので、例えばある薬を頭痛に使って良いということを国が許可しています。
漢方薬の適応症は大変ユニークで、例として結構馴染みのある「葛根湯」の適応症を見てみましょう。
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こりを伴う比較的体力のあるものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
となっています。少し専門用語が混じっていますが、風邪のひき始めからじんましんまで、西洋薬の適応症とは全く違った内容で大変面白い。また「比較的体力のある・・・」と記載があり、患者さんがどういうタイプかまで規定されています。こんなのは西洋薬の概念にはなく、ここが漢方薬が病気じゃない病気に効く所以でもありますね。
このように漢方薬は病気や症状だけでなく、患者さんの状態をよく観察した上でお薬を決めていきます。
まとめ
漢方薬の関しては大変奥深く、とてもはないですがブログでは書ききれません。まさに中国3千年の歴史がつまっています。
病気になると医療機関で検査をし、病名をつけられ、それに合った治療やお薬を選択します。でも人間の体はスパッと決めれない部分もたくさんありますので、そういう時に漢方薬を処方するケースも多いです。各々の強い部分を上手く活用しながら、健康な生活を送っていきましょう。
それでは、また来週!
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◇ 編集後記
私は元医薬品販売業でしたが、漢方には割と思い入れがあります。
まだ20代だった頃、漢方を専門としている先生に多くの事を教わりました、漢方の診断に欠かせない証や気血水など、たくさん学んだことを今でも覚えています。肝心の内容はかなり忘れてしまいましたが、この基本があるおかげで漢方薬の販売は得意でした。
海釣り、特にグレ釣りが大好きだった先生で、よく新鮮なグレの刺身をご馳走になりながら、漢方談義を聞いたものです。
興味の湧いた方は、いろいろ勉強して欲しいと思います。
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