喘息
喘息について
喘息の原因
喘息と聞いて、あなたはどのような病気を想像されますか?
ヒューヒュー、ゼイゼイという喘鳴(ぜいめい)、呼吸困難の発作など呼吸器系の病気を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
喘息とは気管支の炎症の一種で、気管支が細くなり発作が起こる病気のことです。日本では子供の5~7%、成人は3~5%だと言われています。子供の喘息は男子に比較的多く、原因の大部分はアレルギーです。小学校高学年から発作がなくなってきますが、20代~30代に再発することもあります。
大人の喘息の6~8割は大人になってから初めて発症しており、男女比も変わりません。子供の場合はアレルギーが主な原因でしたが、大人の場合は原因ははっきりしていません。
アレルギーの原因物質はダニ、ハウスダスト、ペット、花粉、食事などです。他に考えられる要因としては、大気汚染や喫煙、運動、ストレスなどです。
また咳喘息(せきぜんそく)が続くと喘息に移行しやすくなるとも言われています。咳喘息とは風邪などで咳が出て、風邪が治っても咳だけは治らない病気です。
咳喘息は、発作的な激しい咳が夜中から明け方に出る、気道が刺激に過敏になっていて、アレルゲンが咳の誘因になる、季節によって悪化する、などの点は喘息(ぜんそく)とよく似ていますが、痰があまりからまない点や喘鳴や呼吸困難を伴わない点が喘息とは違います。
この咳喘息ですが、大人の3~4割の方が喘息に移行すると言われており、子供はさらに高い率で喘息になる危険性があります。
喘息の治療法
喘息は下気道の病気ですので、呼吸器科の範疇に入ります。詳しくは専門医にお任せしますが、ここではガイドラインに準拠した治療法をご紹介致します。
かつては喘息は治らない、呼吸困難による死を覚悟しないといけない病気でした。しかし病状の解明、薬剤の進歩により治療法が確立されて、コントロールが可能な病気になりました。
日頃から自己管理を行い、喘息(ぜんそく)の発作をコントロールをしていくことが大切です。
まずは正しい診断です。以下のような気になる症状があれば、専門医に相談しましょう。
- 発作性の激しい咳が出る
- 息苦しい
- 呼吸をすると、ゼイゼイ、ヒューヒューという音がする
薬物療法として発作が起きないように予防する長期管理薬として、吸入ステロイド薬が第一選択薬です。
吸入ステロイド薬と併用する長期管理薬としては、長時間作用型吸入β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放薬などがあります。長期管理薬の目的は、長期の使用で気道の炎症を抑えることであり、効果が出るまでには時間がかかることがあります。
発作が起こったときにはすみやかに気管を拡げ、症状を和らげる必要があります。短時間作用型吸入β刺激薬などの即効性のある気管支拡張薬を使用します。
OTC薬、解熱鎮痛剤、アルコールにも注意!
実はOTC薬(医師の処方が不要で、薬局で購入できる薬)の中には、喘息を誘発する成分を含んだ薬が売られています。喘息治療中の方は要注意です。
- アスピリンなどの解熱鎮痛薬が喘息(ぜんそく)を誘発することがあるので、喘息のある人は注意が必要です。
- 小児(特に5歳未満)、妊婦、授乳中の女性、アレルギー持病のある人など、避けるべき成分があるので専門家(薬剤師など)に相談します。
- すでに服用しているくすりがある人は専門家(薬剤師など)に相談し、成分が重複しないようにします。
- ジヒドロコデインリン酸塩などの鎮咳成分(咳中枢に作用して咳を鎮める成分)で咳を抑えることは、喘息(ぜんそく)の咳に対しては避けなければいけません。一般の咳止め薬に一緒に含まれていることがあるので、注意する必要があります。
またアルコールも喘息を誘発する作用がありますので、要注意です。あるアンケート結果によりますと、通院中の喘息患者の約半数が飲酒後の発作を経験しているそうです。
この「アルコール誘発喘息」は、実は日本人を含む東洋人に特徴的な現象で、アルコール代謝に関係があるとされています。その犯人と目されるのは、アルコールの代謝で生成されるアセトアルデヒドです。アセトアルデヒドを代謝分解する2種類の酵素のうち日本人の約半数が片方を欠いているか、活性が不完全なため、体内に残ったアセトアルデヒドの毒性がさまざまな悪さをしてしまうのです。喘息発作の誘発のほか、欧米人に比べ日本人に悪酔いや二日酔いが多いのもこれが理由のひとつとされています。