よくわかる”舌下免疫療法”~飲み忘れた時の対処法
「飲み忘れた時は、どうする?」
スギ花粉、ダニによるアレルギー性鼻炎を克服するために、舌下免疫療法に挑戦中のあなたの疑問にお答えします。
Q「舌下免疫療法の薬を飲み忘れてしまったら、どうすれば良いの?」
非常に多いお問い合わせですね。3年以上という長い期間の治療ですので、どこかのタイミングで起こりえることです。どれくらい飲み忘れてしまったかによって、再開方法が変わってまいります。タイミング別に見ていきましょう。
1.1日~数日という短期間の場合
毎日のことですので、何か急用があってタイミングを逸したとか、いつも飲む時間帯に来客があってとか、風邪で体調が悪くて等、突発的なことが起こらないとも限りません。でも今まで何カ月、何年と続けてきた治療が、無駄になってしまうのでは・・・
心配なお気持ちはわかりますが、結論から申し上げますと「全く問題ございません!」 ええー、本当に大丈夫なの?と思われるでしょうが、大丈夫です。
<理由>
この治療法はアレルギー反応を引き起こす原因物質(スギ花粉、ダニ)を毎日少しずつ体内に吸収することで、その物質に慣れさせてアレルギー反応を起こさせないようにする治療法です。
ですので1日忘れたからといって、影響が出るようなものではないという事です。食べ物に似ていて、1日野菜を摂らなかったからといって今までの栄養が無駄にならないのと似ています。
飲み忘れ以外にも、例えば吐き気などの体調不良、口内炎などで服用出来ない、しにくい場合も同様です。
長丁場の治療ですので、あまり深刻に考えずに楽にいきましょう。ご心配な場合はご相談ください。
<対処法>
- その日のうちに気がついた場合、その日の用量を服用してください。
- 翌日に気づいた場合、前日の用量を服用してください。
- 服用したか不確かな場合、その日は服用しないでください。
1日くらい服用し忘れても大丈夫ですので、安心して続けて下さい。
2.長期に渡る場合
数日ではなく、週間単位での中断も有り得ることです。医師により判断が違うこともありますが、当院では下記のように指導させて頂いております。
①増量期(舌下免疫療法を開始して間もない時期)の場合
- 1週間以内の休薬は、前回飲むべき量で再開して下さい。
- 1週間を超える場合は、最初からやり直しになります。
②維持期(舌下免疫療法を開始して、増量期が終わり維持量になっている場合)
- 2週間以内の休薬は、そのままの維持量で再開する。(5000JAU:1錠の単位数)
- 2週間を超えて1カ月以内の休薬は、お薬を持参の上でクリニックにお越し下さい。クリニックでお薬を飲んで頂き、副作用など問題がないことを確認します。問題なければ次回からはご自宅で再開して頂いて大丈夫です。初めて服薬して頂いた時のように、ショックなど副作用がないかをクリニックで確認するための来院になります。
- 1カ月以上の休薬は、増量期から再度行うことになります。その場合、花粉飛散時期までに維持期に入れるタイミングはどうかを確認し、花粉飛散時期に入るのであれば、再開は翌シーズンにして頂きます。
- 休薬理由が”喘息発作”など再投与に注意が必要な場合は、期間にかかわらず再開時の最初の投与はクリニック内で行います。
以上のように、休薬期間が長い場合は自己判断せずにクリニックに確認頂くようお願いします。
3.飲み忘れ防止の強い味方
飲み忘れ防止アプリ
とは言うものの、絶対に忘れたくない!という真面目な方、逆に忘れっぽくて心配という方には強い味方がございます。
「SLITサポート~Torii pharamaceutical Co.LTD」という、鳥居薬品の飲み忘れ防止アプリです。ダウンロードして頂くと、飲み忘れを防ぐアラートなど便利機能を活用して頂けます。
例えば、
- 服用通知・・・服用のタイミングをお知らせします。
- 服用サポート・・・お薬を舌下(舌の下)に保持する時間をカウントし、飲み込むタイミングをお知らせします。
- 日記・・・日々の薬剤服用・症状や、通院日(予定日)を記録出来ます。
- 症状グラフ・・・記録した症状経過をグラフで表示します。
(鳥居薬品 舌下免疫療法サイトから引用)
すごい、便利そうなアプリですね。アプリを使って忘れず服用できるなら、使わない手はないと思います。(無料です)
効果に基づく意識アップ
そして何よりも強いモチベーションになるものがあります。それが「効果が出てる!」という実感です。
まだ統計学的にお示しは出来ませんが、当院でも多くの方がこの治療を開始されています。通常3~5年と申し上げていますが、お薬を飲み始めて3カ月くらいで早くも症状が軽くなった、花粉シーズンもマスクなしで過ごせた等嬉しい声を多く頂いています。ネットで検索頂いても同様で、早い段階から(1年未満)効果を感じている人が非常に多い。
もちろん100%ではないですし、副作用で治療を断念した方もいるのも事実。でも治らないとあきらめていた花粉症が、治る可能性があるという希望は何物にも代えがたいのではないでしょうか?
毎年本当に大変な想いをしてシーズンが終わるのをじっと待っていた方が、もう薬も飲まなくて良い、点眼や点鼻をしなく良い、普通の人と同じ生活を過ごせるかも知れないという希望。これに勝るモチベーションはないと断言します。
まとめ
舌下免疫療法の飲み忘れに対する疑問、不安などは解決できましたか?
通常の治療とは違う「長い期間を要する治療法」ですが、根本的に治るかも?という希望も充分にある治療法です。病医院にとっては、通常の症状をおさえる治療の方が経営的には良いのかも知れません。治らない=ずっと通院してくれるわけですから(本音です)。
でも治す治療法があるのなら、患者さんに情報開示していくべきだと考えます。それがクリニックの務めです。病気に対する考え方、重症度などそれぞれ事情が異なりますので、よくご検討して頂きたいと思います。
判断に迷ったり、わからないことなど遠慮なくご相談ください。