2022年度 インフルエンザワクチンについて
2022年度 インフルエンザの流行状況、ワクチンの予約・接種方法について
インフルエンザの流行時機が近づいてきましたが、昨年も流行しなかったし、接種するかしないか迷われると思います。現在(22年9月時点)の情報をお伝えします。
今年度の予約・接種は終了しました!
過去数年のインフルエンザの流行状況
コロナ感染拡大の影響で、ここ数年は冬の風物詩でもあった「インフルエンザの流行」はほぼなかったと言えます。こういう状況を見てコロナウィルスとインフルエンザウィルスの間には関係性があると言われてきましたが(コロナが流行るとインフルエンザは流行らない?)、南半球の今年の流行状況はその概念をくつがえす結果となっています。
オーストラリアの今年のインフルワクチン流行状況のグラフで、赤線が今年の流行状況です。コロナ感染は横ばいだそうですので、明らかにここ数年間とは違う状況であることはおわかりだと思います。
日本の状況はと申しますと、
過去数年間は全く流行していませんでした。しかしオーストラリアの例を考えると油断は出来ず、日本感染学会も今年は接種を”強く推奨”しています。
2022年インフルエンザワクチンのスケジュール
このような状況を踏まえて、今年度のインフルエンザワクチンの予約・接種スケジュール、注意事項などをご案内申し上げます。
予約について
10月1日(土)0時~ 11月6日(日)11時59分まで Web限定での予約を開始致します。
今年度の予約は終了しました!
- この予約は「ワクチン本数確保の為の予約」です。接種に来られる際は、改めて当日の予約をお願いします。
- お電話での予約は承っておりません。
- この期間内であれば、キャンセルや取り直しも患者さんご自身で行って頂けます。
- 予約期間終了後のキャンセルは、原則お断りさせて頂きます。どうしてもの場合はスタッフにご相談下さい。
- ワクチンの本数には限りがあります。お早めに予約をお取り頂くことをお勧め致します。
接種について
今シーズンの接種は終了しました。
注意事項
接種価格
昨年同様、1回3,000円(税込み)
接種する日に持参頂くもの
診察券、保険証、母子手帳、予診票、一部の方ですが行政や会社から配られた接種券
いろいろ決め事が多くてお手数をおかけしますが、限りあるワクチンを安全かつスムーズに接種するためですのでご協力をお願いします。
接種をお勧めする理由
接種をお勧めする理由は、昨年はインフルエンザがほとんど発生しておらず、私たちのインフルエンザウィルスに対する免疫が落ちている可能性が指摘されているからです。もちろん毎年ワクチンを打っていますし、インフルエンザにかかったこともありますのでゼロではありません。しかし充分な抗体量であるかは不明ですので、是非ブーストしておいて欲しいのです。
今年の予測株が外れることもありますし、接種してもインフルエンザにかからない訳ではありませんが、少なくとも重症化する確率は下げられます。コロナの方が怖いイメージが先行していますが、インフルエンザでも毎年何千人もの人が亡くなっています。治療薬が確立されているので安心感は強いですが、決して油断出来る病気ではありません。そういう意味でも是非接種をご検討下さい。
その中でも日本感染症学会が接種を特に推奨する方を明記しています。
- 65 歳以上の方
- 60~64 歳で、心臓、腎臓、呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活を極度に制限される方、60~64 歳で、ヒト免疫不全ウ
イルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方 ) - 医療従事者、エッセンシャルワーカー:急性期後や⻑期療養施設のスタッフを含む医療従事者、薬局スタッフ、その他重要インフラの業務従事者の方
- インフルエンザの合併症のリスクが高い方:生後 6 か月以上 5 歳未満の乳幼児、神経疾患のある子ども、妊娠中の方、その他特定の基礎疾患を持つ方
ご参考にして下さい。
「新型コロナウイルス」と同時流行の可能性
今年もこのような事態が予測されます。気温・湿度が下がる冬場に入りコロナウィルスが活性化する可能性もありますし、インフルエンザが大流行する可能性もないとは言えません。そのような状況で考えられるリスクとして、
- 小さなお子さん、高齢者など抵抗力の弱い層が重症化するケースが増える
- コロナウィルスと症状が似ており一見しただけでは判断が出来ず、対応にかなり苦労する
- 医療機関も発熱で来院した患者さんはまずコロナ感染を疑う必要があり、受け入れ体制や感染防止、消毒などに追われる。医療従事者の感染も増えて、医療崩壊につながる。
♠ コロナワクチンとの接種間隔は、2週間と定められています。接種の2週間以降に、インフルエンザワクチンを接種出来ます。
2022年 インフルエンザワクチンについて
供給量とワクチン事情について
インフルエンザワクチンの供給量は例年並みと言われています。しかし危惧するのは、今後マスコミが報道し始めると皆が一斉に予約を始めてワクチンがなくなる可能性もゼロではないということです。ですので特に前述した内容に該当する場合は、是非接種して頂きたいと考えます。
「医療機関側がもっとたくさんワクチンを仕入れておけばいいんじゃないの?」
その通りなのですが、医療機関のワクチン確保にも様々な問題があります。このあたりの事情も知っておいて頂いた方が良いかと思い、お話致します。
仕入の流れと問題点ですが、
- 夏頃にそのシーズンで使うであろうワクチンの本数を、医薬品卸さんにお願いします。(大体は昨年並みの量)
- 当初予定通りの本数が入荷すれば問題ないのですが、製造過程のトラブルなどで本数が減ったり、入荷時期が遅れることが割と多い悩ましい製品なのです。
- 医療機関側は接種したくても出来ない場合が多発。患者さんとのトラブルも発生。
- 逆に多めに発注したが思ったほど希望がなく、大量の在庫を抱えてしまう。返品は厚労省から厳しく指導されます。
このように、インフルエンザワクチンは取り扱いが難しい面が多く、多めの在庫を持てない事情があります。ご理解頂きたいと思います。
*インフルエンザワクチン予診票のダウンロードはこちらから!
(事前に注意書きも必ずお読みください)
インフルエンザワクチン豆知識
2022年度のインフルエンザワクチンの製造株です。株は毎年WHOが国内外のインフルエンザ情報に基づいた流行予測を行い、推奨ワクチン株を発表しています。それを受けて日本では国立感染症研究所を始めとするインフルエンザの専門家たちが、国内の流行分析や世界中の最新情報を元にインフルワクチン株を決定しています。
2015年からより効果を高めるために、3価ワクチン(株が3種類)から4価ワクチン(株が4種類)に変更されています。ワクチンにはいろいろな種類があり、生ワクチン、不活化ワクチン、mRNAワクチン(コロナワクチン)などです。インフルエンザワクチンは”不活化ワクチン”で、選定された鶏の有精卵にウィルスを注入、不活化(感染力をなくす)して製品化しています。
昔から用いられてきた製法ですので、新しい製法に比べて安心感がありますね。しかし製造に長い時間(1年~1年半)がかかること、卵の発育状況などに左右される、検定落ちが発生するなどのデメリットもあります。
2022年 選定された4種類の株
A 型株
A型H1N1 A/ビクトリア/1/2020(IVR-217)
A型H3N2 A/ダーウィン/9/2021(SAN-010)
B 型株
B型山形系統 B/プーケット/3073/2013
B型ビクトリア系統 B/オーストラリア/1359417/2021(BVR-26)
まとめ
長くなりましたが、インフルエンザ、ワクチンについてご説明申し上げました。ご理解頂けましたでしょうか?
コロナワクチン接種だけでも悩んでみえる方が多いのに、インフルエンザワクチンの心配もしなくてはと大変だと思います。しかしここは頑張って切り抜けて頂きたいと思います。
まだまだ感染も心配ですが、いつか明ける日が来ると信じています。