『 健康ブログ~好酸球性副鼻腔炎について知っておきたいこと 』
三重県四日市の足立耳鼻咽喉科がお届けする健康情報ブログです。本職は耳鼻咽喉科領域の治療を専門としていますが、当ブログではもう少し広い視野で、より快適に生活できる情報を発信します。宜しくお願い致します。
こんにちは、健康ブログ編集長です。夏休みに入りましたが、それにしても暑いですね~。セミの大合唱も暑さをさらに増しますが、これが一匹も鳴かないなんてことになれば、異変の前触れかと心配になります。いつもと変わらない夏で安心しますね。
本日のテーマは、
「 好酸球性副鼻腔炎について」
今回は耳鼻咽喉科の専門ネタで参ります。突然ですが、好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせい ふくびくうえん)という病名を聞いたことはありますか?
いつものように読売新聞の記事を参考に、話を進めて参ります。
好酸球性副鼻腔炎とは?
副鼻腔炎にかかっったことがある、又は今現在も治療中という方は多いと思います。国内の副鼻腔炎患者は100万人~200万人と推計されており、鼻づまりや鼻水が3か月以上続くと慢性副鼻腔炎と診断されます。
好酸球性副鼻腔炎は、慢性副鼻腔炎の中でも両側の鼻の中にいくつもの鼻茸(はなたけ=鼻ポリープ)が出来て、手術してもすぐに再発しやすい難治性の慢性副鼻腔炎のことです。
中等症以上は国の難病に指定されているほど、治療が難しい病気と言われており、国内では約2万人ほどの患者さんがいるようです。子どもが発症するケースはほとんどなく、20歳以上が大半で、年々増加傾向ということです。
副鼻腔という場所は、吸った空気が通る「鼻腔」の周囲にある空洞です。好酸球性副鼻腔炎性は、その空洞内の粘膜が腫れたり、鼻茸が出来たりします。その粘膜や鼻茸に、白血球の一種である「好酸球」という免疫細胞が数多く見られる為この名で呼ばれます。病気の原因ははっきりわかっていません。
好酸球性副鼻腔炎の主な症状は、鼻づまりや粘り気の強い鼻水などです。また臭いがわかりにくくなる”嗅覚障害”が出ることもあります。これは鼻茸によって臭い成分が奥まで届かなくなったり、臭いを感じる部分にも炎症が広がり機能がおこるためです。気管支喘息や治りにくい中耳炎を併発することもあります。特に嗅覚障害などはコロナ感染と間違えてしまいそうで、注意が必要です。
好酸球性副鼻腔炎の診断と治療
鼻の中をファイバーで確認したり、CT(コンピューター断層撮影法)撮影で確認します。伏見クリニックはCTがありますので、すぐに確認することが出来ます。また血液中の好酸球の割合で重症度を判定します。
前述したように治療が難しい病気で、確立された治療法は今のところありません。現在有効とされているのは、ステロイドを服用し炎症を抑える治療です。
しかしステロイド剤は副作用があるため長期間は使えません。内視鏡で鼻茸を切除する手術も可能ですが、すぐに再発します。
希望をくじくようなことを申しましたが、最近はいろいろな治療も出てきています。例えば内視鏡手術+術後治療。鼻の穴から内視鏡を入れて、モニターを見ながら鼻茸を切除。副鼻腔を仕切る薄い骨を除去して副鼻腔を広くする。また内視鏡で鼻茸を切除、その後ステロイド剤を投与したり鼻を洗浄したりすると再発せずに済むケースも増えています。
また最近新しい治療法も実施されています。それはヒトモノクローナル抗体製剤「デュピロマル製剤(商品名:デュピクセント)を用いた治療です。元々はアトピー性皮膚炎の治療薬でしたが、適応症拡大で気管支喘息、そして鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎も可能となっています。ヒトモノクロナール抗体は様々な病気の治療に使われており、好酸球性副鼻腔炎でも期待が持てそうです。ネックは薬価が結構高いので(2021年7月現在 ですが、6万円以上します)、自己負担も高くなることですね。
まとめ
好酸球性副鼻腔炎の概要、診断方法、治療法などについて、ざっくりですが解説させて頂きました。この病気になる確率は低いものの、なった後は色々大変ですので病気のことについては知っておいて欲しいと思います。
風邪などをきっかけに悪化したり、嗅覚障害の症状が出てから長時間放置すると、手術をしても元に戻りにくくなります。おかしいなと思ったら、早めに耳鼻咽喉科を受診した方が良さそうです。また日常生活では手洗いや消毒を徹底して感染症にかからない対策も忘れずにお願いします。
それでは、また来週!
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◇ 編集後記
医学の進歩により、今まで治せなかった病気が治せるようになってきています。日本人の死因のトップでもある「がん」を治せる日も夢ではないかも知れません。
話は変わりますが、地上で一番繁栄している種族は何だと思いますか? それは・・・昆虫なんですね。キモいとか、グロイと邪険にされている昆虫ですが、驚くべき能力を持っています。
知れば知るほどスゴいと感動します。詳しく知りたい方は、名古屋科学館で開催中の昆虫展にぜひいってらして下さい。
キモさ全開で、あなたや子供たちを待っています!
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コロナ感染が拡大していますが、正しく知り、賢く対応していきましょう。
ウィルスが繁殖しやすい季節です。マスク・手洗い・アルコール消毒・3密対策は忘れずにお願いします。
人生を上手く生きていくには、常日頃からの準備が一番です。
☆ 花粉症の方!つらいアレルギー性鼻炎の対策を打っておきましょう。
・初期療法!転ばぬ先の杖です。1月下旬頃から花粉症の薬を飲み始める治療法で、単純ですが効き目大!
・根本的に治る可能性大! 舌下免疫療法を始めてみませんか?
・即効性なら、レーザー治療です!
・通院が難しい方、コロナ感染が心配な方、オンライン診療を考えてみませんか?
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「 安心・安全で人に優しいクリニックをつくり、地域社会に幸せの循環を創る 」
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