『 健康ブログ~イヤホンで音楽を聴く方、騒音性難聴について知っておいて下さい!』
三重県四日市市の足立耳鼻咽喉科が発行する健康ブログです。副鼻腔炎、アレルギー、めまいなどの治療を専門としていますが、ブログでは耳鼻咽喉科領域のみならず、より快適に生活できる情報を発信します。快適に暮らしたい方、健康の大切さを再発見したい方は必見です。
こんにちは、健康ブログ編集長です。7月になり気温と湿度が徐々に上昇傾向です。この後には強烈な暑さが訪れますので、体調管理をしっかり続けていきましょうね。
それまでは音楽でも聴いて、イヤ、ちょっと待って、音楽を聴く時に注意が必要なことが・・・。
本日のテーマは、
「 イヤホンで音楽を聴く方へ、意外と怖い騒音性難聴 」
通勤途中、通学路などでスマホにイヤホンで音楽を聴いている方も多いかと思いますが、ほどほどの音量にしないとマズい事態に陥るかも知れません。
騒音性難聴(そうおんせいなんちょう)とは?
まずは音が聞こえるメカニズムからご紹介しましょう。
人間の鼓膜の奥には内耳という場所があり、そこには「蝸牛(かぎゅう)」というカタツムリ状の器官があり、管の中はリンパ液で満たされています。音が発生すると、そのリンパ液が振動し感覚毛を持つ「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」が動いて電気信号に変換、聴神経を通じて脳に伝わります。こういう仕組みで音として認識出来るわけですね。
しかし大音量や騒音などによって有毛細胞が傷つき機能が損なわれると、脳に上手く音が伝わりません。イヤホンやヘッドホンを使った時だけでなく、コンサート会場とか工場現場での機械の大きな音とかでも障害を受けてしまいます。
初期症状で多いのが、「耳閉塞(耳が塞がっているような感じ)」や「耳鳴り(キーンといった音が続く)」です。また症状は両方均等に出るのではなく、騒音に原因となるスピーカーや工事現場に近い方の耳に異常が発生したりします。しかしながら人間の身体は一部の機能が働かなくなると他の箇所が補うことが多く、この場合で言えばもう一方の耳が聴覚を補うので異常に気がつかないこともあるそうです。そしてこのまま放置して大きな音などを聞き続けると、高音域の声から聞こえなくなり、さらに進行すると低音域も聞こえにくくなり会話などに支障が出たりします。
騒音性難聴かなと心配になったら・・・
- まずは原因となる大きな音を避けることが大事です。イヤホンでの音楽鑑賞の音量には、充分注意してもらわないといけません。
- 大きな音を聞いてしまった場合は、耳を休めること。しばらく安静にしても症状が続くようなら、耳鼻科を受診することをお勧めします。
- 耳鼻科でどのような治療をするのか心配な方もみえると思いますので、簡単に説明申し上げます。基本的には傷ついた有毛細胞での血流障害が原因ですので、炎症を抑えるステロイド内服剤や血流改善、ビタミン剤などを処方します。ここで注意しないといけないのは、傷ついた有毛細胞は再生しないということです。
お仕事が工事関係で常に大音量の工事音を聞かなくてはならない方は、耳栓を上手く使ってなるべく大音量の音を避けなくてはなりません。また音楽をよく聴く人は、周囲の騒音を消すノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを選びましょう。
WHOは2019年に怖~い提唱を出しています。それは「スマホで大音量で音楽を聴くことの影響で、世界の若者の2人に1人が難聴になるリスクがある」と。
これは真摯に受け止めるべきことですので、耳を守るためになるべく小さな音で聞く習慣をつけましょう。具体的な数値で申し上げれば、電車の騒音が80㏈(デシベル)ですが、そのレベルの音を聞くことを週に40時間以内に抑えることとされています。1週間で40時間以内ですので、7で割ると約5.7時間。けっこう長い気がしますが、これがMAXですし、なるだけ少ないに超したことはありませんので誤解なきように。
いかがだったでしょうか? スマホと連携できる高性能イヤホンが続々と発売されていますが、上記の約束事をしっかり守っていきましょう。
それでは、また来週!
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◇ 編集後記
WHOの提言は驚きましたね~。今や当たり前すぎる光景だけに、注意して改善していかないといけません。
そう思うとスマホは便利な道具ですが、目や耳や脳、姿勢などにも悪影響が多く、どうなのかな~と考えさせられます。
若者よ、たまにはスマホを部屋に置いて、緑あふれる自然に身をゆだねよう!
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