メニュー

花粉症の初期療法について

耳鼻科医がお勧めする、花粉症を楽にする「初期療法(しょきりょうほう)」とは?

今や花粉症は日本全国で10人に1人、地域によっては5人に1人と言われるほどの国民病です。原因として、スギの樹の管理の問題、環境の変化、食生活の変化に伴うアレルギー体質をもつ国民の増加など様々な要因が挙げられています。

しかし私たち個人が大きな要因を取り除くことは、正直むつかしい面も。せいぜい生活習慣や食生活を少し改善できるかどうかぐらいでしょう。花粉症に苦しむ多くの方々は、毎年季節になるとお薬を飲んだり点眼などをして急場をしのいでいるのが現状です。

「毎年シーズンになると、この繰り返しだよ・・・。簡単に出来る、何か良い方法はないのかな・・・」

そんな方の為にこのページでお伝えしたいことは、”薬の飲み方を少し変えるだけで、そのシーズンを快適に過ごせるかも知れない”ということなんです。”知れない”という控えめな表現をしましたが、初期療法のメカニズムを知ってもらえればかなりイイ!と思ってもらえるはずです。

抗アレルギー剤の弱点とは?

毎年症状を抑える為に飲んでいる抗アレルギー剤。大半の花粉症の方は、この薬のお世話になっていると思います。眠気も確かに気になるお薬ですが、効果と眠気のバランスの取れた良い薬も増えてきました。また薬価の安いジェネリック医薬品も続々と発売されています。

しかしこの抗アレルギー剤の最大の弱点は「効果が出始めるまでに時間がかかる!」ということなんです。花粉症治療に用いる抗アレルギー剤は、服用してすぐに効果は出ません。個人差がありますが、効果が出始めるのに飲み始めから1週間~2週間くらいかかります。ですので、花粉が飛散し始めて症状が出てからではちょっと遅いのです。以前からこの弱点はあるのですが、意外と知られていません。この弱点をカバーする方法が、初期療法です。

初期療法とは何か?

花粉症の初期療法とは「花粉シーズン時の症状を抑える、または軽くする為に、発症する少し前からクスリの服用を始めておく治療方法のこと」。

症状は未だ出ていないけど、薬を飲み始める。簡単そうで意外と出来ないこのひと手間が、後になっての”快適さ”につながります。これがお勧めする「初期療法」という治療法です。

「でも私は症状が出たら、すぐに耳鼻科に行くから大丈夫だよ!」

「花粉症かあ・・・マスクやメガネ、ティッシュ片手に我慢するしかないよ・・・」

症状が出てから医療機関を受診するのはそれはそれで良いと思いますが、前述したように効いて欲しい時に効かない危険性があります。またマスクやメガネも補助的には有効だと思いますが、完全にブロックすることは難しいでしょう。もっと申し上げれば、花粉症だからといって快適な生活を諦める必要もありません。簡単に出来てデメリットがない方法ですので、やらない手はないと思います。

初期療法の具体的な進め方

この治療法の最大のメリットは、何と言っても簡単であるということ。それでは実際に何をどうすれば良いのかをお話致します。

1.始めるタイミング

例えばスギ花粉症の場合でしたら、一般的に花粉が飛散するのが2月中~下旬頃、症状がひどくなるのが飛散開始時期~3月下旬頃だと思われます。ですのでの時期の前(1月下旬~2月初旬)に来院し抗アレルギー剤などを服用し始めると、ツラい症状が比較的楽になるということですね。

スギ花粉飛散グラフ

2.お薬の選定

昨年の花粉症時期の症状や副作用などを振り返りながら、今年のお薬を決定します。昨年充分な効果があったのならその薬剤で結構ですし、効果不充分だったり眠気があったのなら違うタイプのお薬に変更するのも良いと思います。花粉症のお薬「抗アレルギー剤」には効果、副作用、飲み方など様々な種類がございますので、患者さんお一人お一人に最も適したお薬を選びましょう。遠慮なくご相談下さい。

また外用剤(点眼薬、点鼻薬)も上手く使うと症状を抑えてくれますので、症状に合わせてご処方致します。

3.服用開始と注意事項

当日、もしくは翌日からお薬を飲み始めます。ここで注意して頂きたいことは、抗アレルギー剤は効果と眠気のバランスがポイントになるということです。効果と眠気などの副作用には相関関係があり、効果の強いお薬は眠気の出る頻度が高く、効果のマイルドなお薬は眠気も少ないということになります。

眠気は飲み続けると慣れてきてあまり感じなくなってくることが多いのですが、そうでないケースや眠気が強く出る時などはすぐにご相談下さい。抗アレルギー剤は個人差があり、薬のデータだけでは判断できないケースもございますので、ご注意下さい。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME